【学歴詐称?】田久保眞紀市長の東洋大学”卒業”

憲法・法律・法令

東洋大学法学部出身の松本肇です。田久保市長の学歴・経歴について、基本的な情報は報道ベースですが、「学歴全般」「学歴詐称」「盛れる学歴」の専門家として、私もコメントしたいと思います。
なお、私が本当に東洋大学法学部出身かについて、本記事の最後に説明しますので、知りたい方はいち早くスクロールをしてください。

伊東市初の女性市長誕生
同市は今年5月、初の女性市長が誕生しました。「広報いとう」で大々的にアピールされています。

広報いとうより転載

このプロフィールによれば、平成4年(1992年)に東洋大学法学部を卒業しているとあります。

広報いとうより転載

昭和45年2月生まれの人にとっての平成4年に大学卒業というのは、一般的な現役合格で4年できっかり卒業したということになります。私も同世代だったのでわかりますが、いわゆる団塊ジュニア世代で人口も多く受験戦争が激しく、どこでもいいから4年制大学に合格・卒業できれば、それだけでエリートという扱いをうけていた時代です。

真実だった怪文書
田久保市長の当選後、このような怪文書が伊東市議全員に届きました。

ANNnewsCHよりキャプチャ・転載

この怪文書を受けて、伊東市議会では市長に対し質問がなされます。東洋大学法学部を卒業したのか否かです。

ANNnewsCHよりキャプチャ・転載

本当に東洋大学を卒業していれば、「卒業しました」と答えるのが普通です。

ANNnewsCHよりキャプチャ・転載

しかし、明確に「卒業した」という答弁ではなく、証明の提出は済んでいるというもの。

ANNnewsCHよりキャプチャ・転載

しかし、実際に市議会の議長には、卒業証書・学位記のようなものを一瞬見せたという話でした。

ANNnewsCHよりキャプチャ・転載

そして田久保市長本人は、母校・東洋大学を訪れ、除籍されていたことを自覚したとコメントしています。詐称か否かはともかく、「東洋大学法学部卒業」は否定されました。怪文書は真実でした。
ちなみに「除籍」は学校側による一方的な処分を指し、「中退」は学生本人の手続きによるものというのが一般的です。ただし、過去の在学年数や修得単位についてはどちらも同じとされるケースが多いようです。ちなみに私は学費未納により、慶應義塾大学経済学部を1年間で除籍になりましたが、後で証明書を請求したところ、「中退」となっていました。
この他、学内で重大な犯罪を犯した場合(私が取材したのは同級生に対する殺人)も除籍処分の対象となります。この場合は、在学記録さえ無くなるので修得単位もゼロになるといった処分を聞いたことがありますが、それはご本人に聞くわけにもいかず、服役を終えた彼も大学へ確認したくもないでしょうから、現実のところは分かりかねます。

田久保市長の疑惑発覚して、当初の私の考察

学士があればセーフ
実は私、ご本人が除籍を認める少し前、X(Twitter)でこのように考察しておりました

伊東市の田久保市長の学歴詐称疑惑について。別に「東洋大学中退」でも資格上は問題ないのに、「卒業」としてしまったことについて。
選挙公報などには記載していないようなので、辞職まで求めるのはどうかとも思う。
…とはいえ、卒業証書をチラ見せするところを見ると、怪しい。なので、私は辞職するかどうかのボーダーラインは「学士を持っているか否か」だと思う。
他大学の学士や通信制の学士なら、チラ見せしたくなる気持ちはわからないでもない。
ただし、偽造だったり、学士ではなかった場合は辞職は必至だと思う。

松本肇 X(Twitter)より

つまり、大卒を偽装するというのは、「学士」という一種のライセンスを偽装することになります。
例えば、「横浜自動車学校卒業」という経歴があろうとなかろうと、誰も詐称とか偽装とか問題視はしないけれど、「普通自動車免許取得」という資格を偽装していたとすれば大問題という意味です。
学士(bachelor’s degree)は、国際的にも有効な学位であり、法学部卒であれば学士(法学)を有していることになり、米国へ行けばLaw Schoolの在学期間を短縮できるというメリットが生じます。日本国内だと国立とかMARCHとか日東駒専など、大学名や偏差値やブランドに価値を感じますが、問題は学位の有無です。この記事を書いている私は神奈川大学法学部卒で学士(法学)で美容学校の講師資格を認められたため、神奈川県知事認可の学校で講師をしています。
法学でなくても、例えば放送大学で得られる学士(教養)を持っていれば、普通に大学院入学資格ができます。応募要件が「大卒」とされている就職もできます。
つまり、大学名に限らず、学士を有していることが事実であれば、4年にわたって所定の124単位を修得するだけのプロセスを経たという担保のもとに、一定の信頼を得られます。

市長は留年したか、学費の問題で通信制に転じたのではないか
私は市長が卒業証書をチラ見せして詳細は語らなかったという状況を鑑みて、留年したために卒業年度に誤り(実は2年後だった等)があったのではないかとか、学費が支払えずに二部(夜学)や通信制に移ったのではないかということを考えていました。
当時、東洋大学法学部には通信制があり、実はほぼ全ての単位を自宅で履修できる(大学のキャンパスでの試験を受けずに卒業できる)という制度がありました。当時、法学部で自宅履修ができる大学は稀だったため、ここを卒業して米国に渡ってLaw Schoolの1年コースに入学した人もいたくらいです。現在は同大学の通信制の課程そのものが無くなりました。
一般に、二部とか通信制を卒業したというと、経済的に困窮していたとか学力不足が原因で恥ずかしいと感じる人がいるため、私は卒業証書のチラ見せを行ったのではと考えていました。
しかし、そのいずれでもありませんでした。

卒業証書のチラ見せがなければ謝罪で済んだ
市長は、二度の市議会議員選挙と、一度の市長選挙を闘い、そのいずれの選挙でも選挙公報では学歴を書いていません。

選挙公報に学歴は記載していません。ここまでは何ら問題ありません。
また、「マスコミには東洋大学法学部卒と伝えた」というのも、市長当選後に広報誌に「東洋大卒」と書かれてしまったことも、「東洋大学出身と伝えたら、卒業にされてしまった」という言い訳で済ませられるからです。
「私がふだんから東洋大OBでとか、東洋大出身とか、東洋大を出てからこういう仕事をしたみたいなことを言ってたので周囲が誤解してしまった。それで市民や議会に誤解を与えた。ごめんなさい。以後、気をつけます」で収めることができたはずです。

議長・副議長にチラ見せした証書が命取り
しかし、致命的だったのが卒業証書らしきものをチラ見せした行為です。二元代表制の中で市長が負う義務は、適切な説明です。その説明は、誤りがあるのは仕方がないとしても虚偽ではいけません。だから、いわゆる「霞が関文学」とか官僚のような答弁が存在するのです。
パワハラの有無を聞かれた兵庫県知事が「そのような事実は確認できないが、ご指摘は受けとめる」と言いながらのらりくらりかわすアレです。カイロ大学卒業が詐称ではないかと言われた東京都知事が卒業したとは断言せず、「カイロ大学やエジプト政府によって認定されている」と言い続けているのもそう。自信を持っているなら「パワハラの証拠が出てきた死んでもいい」、「カイロ大学ではあの科目とその科目と必死に勉強して、きちんと卒業した」と言えばいいのに、変な答弁を続けるのはそういうことです。
肝心な時に致命的な嘘をつくことがバレた以上、田久保市長は辞職しか無いのではないか。

謝罪で済むボーダーラインは単位数が124以上だったときのみ
もし、私が「専門家」として、許されるラインを引くのであれば、あとは修得した単位数で言い訳を考えます。
通常、4年制大学は所定の124単位を修得すれば卒業です。なので、124単位を取ったけれど、必修科目を落としていたため、卒業に至らなかったようだが、卒業だと思っていたという言い訳なら、苦しいけれどまだできます。これが30単位しか取れていなかった程度の話だったらもうダメですけどね。

学歴・経歴を盛る話
私はしばしば学歴を盛る話を考えています。例えば私は法政大学法学部のOBだし、慶應義塾大学経済学部で学んできたし、東京大学大学院で教育学を専攻してきました。私は法政大学の法学部の通信教育課程に1年だけ在籍して4単位を取り、慶應も通信教育課程で1年在籍して2単位を取り、東京大学大学院の科目履修生として2単位を取りました。何の嘘もありません。しかし、どれも学位には至っていません。私が東洋大学出身というのもそう、科目履修生として在籍していたことを指しています。
でも私は小泉純一郎郵政大臣の下で働いていたし、読売にいたことも、日本テレビにいたこともあります。司法試験予備校の伊藤塾で有名な伊藤真弁護士の下で勤務していたこともあります。
これもタネ明かしすると、郵便局の年賀状配達のバイト、読売日本テレビ文化センターの契約講師、伊藤塾が入居しているビルの地下の居酒屋でバイトというものです。でも、どれも嘘じゃないでしょ。
そういう話の盛り方って、いろいろあるじゃないですか。でも、ちゃんと種明かしをすればいい。笑い話になりますよね。
一方で、まともな大学のまともな博士を取ったけど国会図書館で博士論文を取り寄せたら、私でも簡単に見破れる剽窃論文だったバカ田大学のアホ教授も知ってるし、国立の超一流大学を出て経営コンサルタントと名乗っている政治ゴロというか政治家くずれも知ってるし、弁護士資格を取ったのに詐欺・横領で捕まったやつも知ってるし、一見まともな学歴とか経歴がいかに信用ならないかもよくわかっています。

そんなこんなで私からの進言ですが、田久保市長はきちんと謝罪して、辞職して、もう一度、出直し市長選をやられてはいかがですか。
「つい嘘をついてみなさんを混乱させてしまった私だけど、もう一度チャンスください」というのが、今できる最良の選択肢だと思います。
少なくとも、兵庫県と東京都の知事より、私は尊敬します。

コメント

  1. まつはじ まつはじ より:

    コメントテスト

タイトルとURLをコピーしました