日本国憲法を勉強してわかること

憲法・法律・法令

私が著者のひとりになっている憲法の解説書があります。これは現行の日本国憲法の逐条解説であると共に、戦前の明治憲法(大日本帝国憲法)と、将来改正されることを想定した自民党改正草案の比較ができるというものです。
私は法学部時代、不勉強だったこともあって、こんな比較はもちろんのこと、明治憲法なんてものを(解説書も含めて)しっかり読んだことなどありませんでした。
比較してみてわかることは、悪名高いはずの明治憲法でさえ、その前の江戸時代からの統治機構を鑑みて、かなり綿密に作られており、現行の日本国憲法は戦後の混乱期かつ短期間であるのにも関わらず、かなりきちんと作られていたことがわかりました。
その一方で、自民党改正草案については、まず現行の日本国憲法をコピペした上で、為政者の暴走を許さないガードレールをあえて取り外し、都合良く改正しただけの、ものすごく質の悪い劣化コピーにしか見えないのです。
「憲法を変えるぞ」と、わざわざ草案を作っておきながら、その条文が稚拙なのが驚きです。
例えばこの条文。

第97条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

現行の日本国憲法より

これ、「基本的人権は(中略)現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託」って部分は、つまるところ、憲法の人権規定は絶対に侵すことができないって、念を押している規定です。
では、この97条に相当する自民党改正草案には何と書いてあるか。

削除

自民党改正草案

そう。「人権規定は永久ルール」が、まるっきり削除されているんですよ。
つまり、国民の人権は政府の好きなように制限するぞ宣言なんですよ。

現行の日本国憲法下でさえ、様々な人権侵害があるというのに、守らんでいいというメッセージがあるってやっぱりおかしくないですかね?

コメント

タイトルとURLをコピーしました